Ferris and Pipo フェリスとピポの日常の贅沢

真剣な遊びから真剣なアート生まれる、を信じています〜。

after a bike rideの不思議な話

忍者の里、甲賀から柳生の里までの55km(約34マイル)を走る。無事に15:30には目的地の宿に着き、今日はいつも以上に素早く自転車の整備に取りかかる。周辺の山をお散歩したいのだ。ここ柳生の里は江戸時代に徳川将軍に剣術指南した柳生一族の出身地。とはいえ、現在は陣屋跡と周りに数件の家がある静かな集落なのだ。

今日の散歩の目的は一刀石まで行くこと。55kmも自転車で走ったあとで我ながらすごいなと思うけど、今や一大ブームとなった人気漫画/アニメ、鬼滅の刄で主人公が巨石を2つに切る場面が出てくる、この場所を訪れるファンで賑わっているそうだ。私の泊まる川沿いの旅館からは反対側の山を少し行ったところに周辺地図があるが、見ての通りここから680m先に目的の一刀石、家は5件だ。

『もう暗いから今日は行かないほうがいいよ。』 後ろから声がする。いつのまにか、おじいさんが立っていた。

『ここから先は灯りもないから、いつも真っ暗だよ。一人では行かないほうがいいよ。」とのことだ。

確かに。ファンで賑わっているはずなのにブームはもう去ったのか、だーれもいないじゃないの。しかも山の夕暮れは早そうだ。

『今日はどこか泊まるところがあるの? なければうちに泊まりなさい。』

終電に乗り遅れても都会ではこんなことはまず無いだろう。おじいさんの家は地図でいうと現在地の道を挟んだ反対の家だそうだ。今日は川岸の旅館に泊まることを告げると、「そう、じゃあ今度来たら必ず泊まりなさい。前もって連絡しなくてもいいから。必ずだよ。」

そうすることを約束し、もう少しだけ行こうとすると、

『この先も行き止まりで、行かないほうがいいよ。道はないよ。行ってもすぐ戻るんだよ。いいね。」と。

少しだけ先に行きたくなった理由は、ここの風景。空は曇っているのにここだけ夕日に照らされた黄金の紅葉が綺麗なのだ。

行き止まりまで歩いていくと、右側に山の中に入る細道がある。ちょっと行ってみたい誘惑にかられ、立ち止まる。

すると、『うぉー、うぉー、うぉー 、、、』

という声が道の先から聞こえてくるのに気づく。修行しているような人の声か、、。いえいえ木の枝がぶつかる音だと思いたい。

『うぉー、うぉー、うぉー、、、』声は止まない。

何の音なのか確かめに行きたい。でもここから先に行ったら、絶対に帰ってこれないだろう。

そんな気がした。

自転車で走った後、今度は一緒に行ってみませんか? 宿泊も完備だしね。